略 歴 | 横浜国立大学大学院教育学研究科修了。教員免許を取得。出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、学校情報を収集しながら教育情報誌の制作を行う。その後、独立。全国約1000人の教師に話を聞いた経験をもとに、学校現場の事情をわかりやすく伝える活動を行う。roku you代表下向の取材を機に、SELの可能性に魅了され参画。 |
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インタビューroku youメンバーインタビュー
教育の土壌を耕すSELに可能性を感じた
#1
roku you代表の下向依梨さんから最初にSELの話を聞いたのは、2020年の取材がきっかけでした。それまで私はライターとしてたくさんの教育関係者の方にお話を聞いてきました。学力を伸ばすための取り組みや欠席や遅刻への対策、子どもたちが自身の関心を軸にして学ぶ探究活動……、話を聞いてSELの概念はその全ての土台になるものだ、と感じたのです。この土壌の部分をおろそかにしていては、どんな教育も響かない。そんな核心めいた思いがありました。 もう一つ、SELに惹かれたポイントがあります。私は未就学から社会人教育まで、広く「人を育てる」領域の取材と執筆を行なってきました。その中で段階や学齢ごとに教育がブツ切れになっているという課題意識を持つようになっていきます。特に、学校教育と社会人教育は全く別物として語られることが大半です。同じ「人」を育てる営みなのに、なぜ地続きにならないのか……。 SELは小さな子どもから大人まで、全ての段階において重要な人の成長のベースとなるものです。実際に、SELの取り組みを通じて、生徒だけでなく先生も変容していくストーリーを幾度も耳にしました。つまり、「教育を接続できないか」という私の課題に対して、SELはヒントを提示してくれているとも感じています。
#2感情をありのままに捉えるという営みの重要性
roku youに出会ってから、ことあるごとに周囲にSELの可能性について話しをしています。「これが絶対に大事だと思うんだよ」「rokuyouというおもしろい会社があってね」と語って、書くだけでなく、私自身が歩く広報になろうと思っています。それは、私が感動した「これだ!」という感覚をもっと多くの方にお伝えをしたいからです。 中には、同じように目を輝かせて依梨さんが解説パートを執筆している『21世紀の教育』(ダイヤモンド社)を読みふけってくださる方もいます。しかし、その一方で、ピンときていない方がいることも感じていました。そうした方々は、「感情を大事にするなんて、そんな当たり前のこと」と言うのです。 SELという言葉を使わずに、その考え方や姿勢が根付いているのであれば、それは全く問題ないと思います。実際にそうした方々もいらっしゃる。しかし、「当たり前」と言う人の中の多くが、「感情をコントロールする」だったり、そもそもあるはずの感情を捉える経験をしていなかったりするのではないかと感じます。 私は、自身の感情をノンジャッチで観察できるようになることで、子どもたちの感情にも寄り添うことができるのではないかと思っています。そして、こうした大人がもっと増えてほしいと考えています。 私が得た「これだ!」という閃きをどう言語化し、多くの人たちに伝えていくか。学校現場で日々先生や子どもたちと接しているrokuyouラーニングクリエイターの話を聞き、時には現場に同行し、人の育ちの土台を分析し、紐解いていくこと。これは私自身の挑戦でもあると考えています。
#3SELが溶け込む学校現場になってほしい
SELの考え方が本当の意味で「当たり前」になっていく。社会にSELが溶け込んでいく、そんな状態が理想だと思います。 目の前の大人が「こうあらねばならない」という鎧を脱いで、オーセンティックに生きていくことで、子どもたちもありのままの自分に価値を見出すことができるのではないでしょうか。 そして、このような状態は子どもたちだけでなく、先生や保護者の幸福度にもつながっていくのではないかと思っています。 そんな世界を目指し、言葉の力を借りてSELの可能性を発信していきたいと考えています。