生徒の興味・関心を軸に主体的に学ぶ修学旅行プログラムの計画と実装

学びの仕組みづくり

主体的に学ぶための土壌づくり / 自己理解 / 機会づくり

背 景

聖学院中学校・高等学校は生徒が自らの手で平和を築いていくことを大事にしている学校です。
第二次世界大戦で地上戦があった沖縄の土地で、被害の大きさや基地の問題について深く学ぶ機会を創出したいという思いから、約30年にわたり沖縄への修学旅行を行っています。

これまでの修学旅行では、ガマや平和記念公園で語り部の方の話を聞き、美術館を訪れることが中心でした。しかし、こうした沖縄での経験だけでは生徒たちが実生活につながるイメージを持ちづらいという課題を先生方は抱えていました。

そこで、「沖縄で平和への活動に取り組んでいる方や沖縄文化を受け継いでいる方とリアルに触れ合いながら体験的な学びを実現するために、コーディネートをお願いしたい」というご相談をいただき、rokuyouとの協働がスタートしました。

取り組み

沖縄戦や沖縄についての学習を深めながら、実体験を重視し、自分ごととして平和な未来について考え、思い描けるような修学旅行プログラムとしています。 生徒が教科書でしか触れることのなかった沖縄に、修学旅行の機会で突然訪れたとしてもなかなか深い学びはできません。
そこで、事前学習を設定し、修学旅行で会う沖縄で活動なさっているアドバイザー(修学旅行プログラムのフィールドワーク担当者)の方々とオンラインで対話する機会を設けました。事前学習から当日まで体験的なプログラム設計を行い、生徒の学びが深まるようサポートしました。

成果

生徒たちからは、「事前学習で、沖縄戦やガマでの集団自決、米軍基地の騒音問題などについて聞いていたが、沖縄に来ることによってよりリアリティをもって捉えることができた」「体験が自分のものとなった。うまく言葉では言い表せないけれど、大事なことを掴めた感じがした」と話していました。
事前学習の段階で、アドバイザーから「こんな資料があるよ」「このあたりが参考になる」といった情報を得ているので、生徒たちはテーマについての意識を深めて沖縄にきています。そのため、当日は質問が止まりません。それだけ本人たちの中で課題意識が高まった状態で、修学旅行を学びの機会にすることができているのです。自身の興味関心を軸に、学び方も生徒が決定していくことで、こんなにも主体性を発揮していくことができるのだと、我々も毎回刺激をもらっています。

rokuyouのアクション

  • 修学旅行のプログラム設計サポート・コーディネート
  • 沖縄の歴史についてのレクチャー
  • フィールドワーク実施のためのテーマとアドバイザーの選定
  • アドバイザーとのオンラインでの事前学習の設定

プロジェクトに関わったメンバー

お客様の声

本校では沖縄平和学習を30年ほど前から取り組んできました。ただ、戦争体験者の方の高齢化に伴う平和学習のあり方の変化や、国際情勢の変動に伴う日米安保体制の変化など、従来の修学旅行のあり方を問い直す必要が出てきました。
そのような中で、roku youと出会い、議論を重ねていく中で、一緒に新たな修学旅行の形を作り上げていくことができました。 沖縄は「悲惨な悲しい島」ではなく、「未来への希望の島」と位置付けたいと考えています。過去の悲惨な戦争を経験し、現在も基地の負担を強いられている中でも、新たな未来を信じ、チャレンジなさっている沖縄県の大人と生徒達が出会い、インスパイアされるだけでなく、自らの進路を考える機会になっていると感じます。 教員の希望を丁寧にお聴きいただき、生徒にとって良質な学びの場を提供いただく上での不可欠なパートナーです。

プロジェクトに関わって

平良 朋広

  • rokuyouラーニングクリエイター

沖縄の修学旅行のイメージは、「海」「シーサー」「 なんか楽しそう!」で終わってしまうことが多いように感じていました。それだけでもいいのかもしれない……と思いつつ、沖縄出身の僕としては、 もっといろいろな魅力や歴史に触れてもらいたいという気持ちを抱いていました。
聖学院高校様は、沖縄の多様な側面に興味を持ってくださり、rokuyouへご相談をくださったことが率直に嬉しかったです。その期待になるべくお応えしたいという思いで、懸命にご一緒させていただきました。 首都圏の学校との教育旅行事業の協働はジワジワと広がりつつあります。
そして、僕個人としては、こうしたフィールドワークを沖縄の子どもたちにもつなげたいと考えています。修学旅行だけの特別なプログラムにするのではなく、県内の子どもたちの地域探究にも活かすことができる事業であると感じています。県内外のさまざまな子どもたちに体験してもらえるモデルを構想しているところです。 沖縄戦や海に触れながら、生徒たちが自分ごととして沖縄という土地での学びを得られることに大きな意味があると信じています。

プロジェクト詳細

期 間 2020年〜2024年(※現在進行中)
関わった人数 rokuyou 2名 / 伴走した教員の数 約20名
プログラムを受けた生徒 約600名

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