「1/1の可能性」を花開かせるために人生の土壌が耕され、個々の可能性が交差する場を構築する

学びの仕掛けづくり

自己理解 / 関係性構築 / 学ぶための土壌づくり

背 景

「1/1教育」を理念に掲げて、全国主要都市を中心に54キャンパス(2023年4月時点)を展開する通信制高校の第一学院高等学校さまから、「プロジェクト学習を3年間かけて、全キャンパスへ浸透させたい」とご相談をいただき、事業がスタートしました。

学習への不安を抱えている生徒もいるため、心理的に安全な土壌づくりが重視されました。 また、正解が一つではない社会へ力強く羽ばたいていくには、これまでのティーチングを中心とした教科教育ではなく、生徒が自ら学ぶ力を養うPBL(Project Based Learning)へと移行していくことが求められます。そこで、生徒を取り巻く教職員においても「答えを与える」のではなく、「生徒が答えを作り出せると信じて見守る」というあり方が重視されました。
そのため、先生方には下記の取り組みのポイントを自分事として捉え、推進していただく必要がありました。
<ポイント>
(1)指導型から伴走型への意識の転換
(2)自己認識や他者共感といった教員の社会情動スキルの習得
(3)学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」の理念に基づいた教室の雰囲気・環境づくり
(4)キャンパスの卒業生を含めたラーニングコミュニティの設計

取り組み

取り組みがスタートしてから一貫して重視していることは、まずは先生方にSELとPBLの体感を得てもらうことです。必ず先生自身にSEL×PBLを体感してもらった後に、学びの場のデザインに入ります。具体的には、先生向けの「SELをつかみ、自分自身や生徒との接し方を見つめなおす」リトリート研修、生徒向けの「SEL×PBLを1人称、2人称、3人称の順に学んでいく」カリキュラムの雛形設計、そして先生方が各自の現場に合わせて工夫し、知恵を共有できるようなラーニングコミュニティ作りに取り組んでいます。

1年目は秋葉原と梅田のパイロットキャンパスからスタートし、2年目は10校から各2名ずつ参加していただき対面で研修を実施。3年目は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、オンラインでの開催となりました。4年目は未着手の2校も含めた、学院全体でSELの肝であるノンジャッジメンタルを体感していただくワークショップをオンラインで行いました。5年目は先生向け研修に加え、プロジェクトのフィードバックの場も設け、新たな取り組みとして、生徒のプロジェクト活動の根底にある自身の動機に立ち返る機会の創出や、活動後のリフレクションの場を先生方と一緒に作っていきました。
6年目は、先生向けの研修に加え、全キャンパスの生徒向けにオンラインで講座を実施。SEL×PBLの体感を得ながら、生徒自身の興味関心にもとづいたマイプロジェクトを立ち上げ、取り組んでいます。マイプロジェクトでは、生徒の目指す姿として「誰かの役に立った実感や自分に少し自信が持てている状態」「自分や社会のことを少し知ることができている」「応援しあえる仲間ができている」といったことを挙げています。

過去に取り組んできたこと

・コンサルティング:現状とニーズを明らかにし、的確な目標とマイルストーンの設定
・PBL×SELを理解、体現するための研修の設計と実施
・教員向けPBLガイドラインなどのサポートツールの作成・配布
・年間のカリキュラム設計のサポート
・教員研修も兼ねた生徒向けワークショップの実施
・PBL×SELを浸透させるための年間イベントの設計(教員成果発表会、マイプロアワードなど)
・先生の内省をサポートするリトリートプログラムやマイプロジェクトの実施
・生徒向けのマイプロジェクトのフィードバックの場の運営

成 果

<これまで>
秋葉原キャンパスでは、キャンパス長を中心に、生徒自身の「自由」と生徒たちを受け入れる「受容」が重視され、一人ひとりがありのままでいられる雰囲気が学校全体で醸成されてきています。その結果、キャンパスへの思い入れを感じる生徒が増加しました。そして、新潟キャンパスでは、心理的安全性を土台にし、生徒自身が思いやスキを起点としたプロジェクト作りとそれを称賛しあう雰囲気が生まれています。各キャンパスにおいて、SEL×PBLの輪がゆっくりとではありますが、確実に広まっています。

<今年の取り組み>
全キャンパスの生徒に向けたオンライン講座では、PBLの土台となる自己理解や関係性作りを行ってから、プロジェクト作りに取り組んでいます。自分自身に目を向け、気づきを伝え合うことでより良い関係性が育まれています。また、クラスメイトとの対話を通して得た気づきから、生徒自身の興味関心にもとづいたマイプロジェクトを立ち上げている様子が見られています。

rokuyouのアクション

  • 全教員向け研修
  • 生徒むけのSEL×PBLオンライン講座配信
  • コラムの作成

お客様の声

竹下淳司様 (株)ウィザス取締役 第一学院高等学校副理事長

竹下 淳司 様

  • (株)ウィザス常務取締役
  • 第一学院高等学校理事

通信制の第一学院高校では様々な背景を持つ生徒に独自の意欲喚起教育(プラスサイクル指導)を通じた「成長実感型教育」を展開しております。 年々多様なニーズの生徒が増え、従来型の教科指導だけでは限界もあり、未来社会に生きる生徒達に今後必要になる非認知スキル・ソフトスキル養成を軸に3年前から通学コースを生徒の主体的な学びに切り替える方向性を打ち出しました。
ICTによる生徒1人ひとりのニーズに応じた個別最適化・自立型学習と1人ひとりが仲間たちとの共創による学びの「プロジェクト型学習(PBL)」の2つの学習形態を軸に転換を図っております。
ご縁で roku you様から PBLのより効果性を高めるためにSELの概念をご紹介いただき、SELによる学びが多様性を持つ生徒の成長段階に応じた1人称・2人称・3人称と表される自分自身の課題の向き合いから社会課題まで視野を段階的に拡げていくステップになり、第一学院の「成長実感型教育」との親和性も高く、多くの生徒達の成長度を加速することに繋がっています。
また、roku you様とのプロジェクトにより多くの教員のグロースマインドセットにも繋がり、新たな第一学院の教育構築に貢献いただき感謝しております。

プロジェクト関係者からの一言

町塚 俊介

町塚 俊介

  • rokuyou ラーニングクリエイター
  • rokuyou academia ディレクター

第一学院様との取り組みをご一緒させていただいて、早6年がたとうとしています。
本年度は新しいフェーズとなっている感覚があり、着実に目標とする「あり方」に近づいていると感じます。各現場の皆様と生徒さんの努力によって生まれる変化の芽生えをより一層広げていくお手伝いに、身が引き締まる思いを感じています。第一学院全体が共通のビジョンに向かっていくためにこれからも対話を重ねていきましょう。皆様と挑戦や変化、成長を共有しあえる関係であれることに感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

プロジェクト詳細

期 間 2019年〜2024年(※現在進行中)
関わった人数 rokuyou 5名 / 先方プロジェクトチーム 3〜5名程度
プログラムを受けた方 全国54キャンパス、1000名以上

プロジェクトに関わったメンバー

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